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スポーツモデル

2021年07月01日

 

 いよいよ、東京オリンピックの開幕が近づいてきました。やはりやると決めたことはキチンとやるというのは良いことです。最近は若い頃ほどスポーツ観戦には熱が上がらなくなったとは言え、各競技で続々と代表選考会も行われていて、久しぶりに色々な競技を観ています。また、今年は大リーグで大谷選手が大活躍しているので、再び大リーグニュースなどをフォローするようになりました。

 いやはや久しぶりで観ると、各競技ともそのレベルの向上には驚かされるばかりです。陸上や水泳の記録の向上は非常にわかりやすいですが、それ以外にも、野球の投手の速球は全員時速150キロを超え、160キロ超えも別に珍しくありません。そして速球より凄いのは変化球の方で、あの硬いボールがあんなに急激に曲がったり落ちたりするのは、とても信じられない気分です。更に、守備ではデータを駆使して、打者ごとに極端なシフトを敷いています。昔の「王シフト」どころではありません。なんと、ショートがセカンドとライトの間にいます。サードはほとんど二塁ベース上。つまり、ダイヤモンドの左半分はガラガラです。こんなのが本当にいいのだろうかと思いますが、確かに総じて正解のようで、一、二塁間を抜けるショートゴロやセンター前サードゴロといった、今までに見たことのないプレーが次々と繰り広げられます。

 そしてどの競技でも、プレーのスピードが少し前と比べると段違いに速い。バレーボールでは、レフトへの平行トスは以前のBクイックより速いくらいです。

 考えてみるとスポーツというのは、遠い昔は決してそれ自体が目的として存在していたわけではなく、生活のために必要なものだったのでしょう。速く走ったり、遠くに的確に槍や石を投げることは、狩猟・戦闘や通信に必要だったでしょうし、直接的ではないものの、チームスポーツも狩猟や戦闘における集団行動のシミュレーション的要素の強いものだったはずです。

 しかし、そうしたスポーツの必要性は技術の進歩と平和の拡散により失われました。人間より速く走る乗り物はいくらでもあるし、中には飛ぶものまである。パワーという点でも、クレーンやブルドーザーに人間は遠く及びません。戦争がなければ別に集団で戦闘を行う必要もない。必要ないのだからスポーツは廃れそうなものなのに、現実にはますますスポーツは進化している。考えてみれば不思議な話です。

 必要性を失ったスポーツという存在は、今は見せるためと楽しむための対象として生き残り、進化し続けています。これは今後の我々の社会に一つの示唆を与えていると言えないでしょうか。今、我々が生きるために必要と思ってやっている仕事は、技術の進歩によりどんどん不要になっています。実はそれは何も今に始まったわけではなく、もう30年も前から始まっていたのだけれど、人間はそれを会議や資料を増やすことなどで気づかないフリをしてきたのです。

 ところが今回のコロナ騒動で、もう気づかないフリはできなくなってしまいました。リモートワークが普及し会議をしなくても何も困らないということが証明されてしまった。そうすると、人間は仕事をしなくても良くなってしまうのか。それは、やはりたぶんそうなのでしょう。これからは人間が働かなくても、人間の生活に必要な財やサービスはAIや機械によって何の問題もなく創出されるようになる。では、本当に人間は仕事をしなくなってしまうのか?いや、それはまた別問題でしょう。

 ここで前述のスポーツモデルの登場です。スポーツがそうだったように、仕事は生きるための必要性は失うけれども、今後も見せるもの、楽しむものとして残り続けるのではないか。

 この「スポーツモデル仮説」には、そうなって欲しいという私の希望も多分に含まれています。今のスポーツの急激な進歩を支えているもの、それは科学的なトレーニングと綿密なデータ分析です。しかし今、仕事の世界では残念ながらスポーツのこのモデルは当てはまらない。DXなどという、何を今更と思うような言葉がやたらとメディアに登場していますが、セールス・アシスタント・ツールにしてもマーケティング・オートメーションにしても、ひたすら人間のデータ投入の手間を増やすばかりで、結局そのデータや分析は業務能力の向上には何の役にも立ちません。また、How Toものの研修なども増える一方ですが、人間の業務能力の向上につながるようなものは殆どありません。こういうものの普及により、人間は単なる作業員もしくはマニュアル通りにしか動かないロボットとなってしまい、創造性も考える力も失われる一方です。

 現状、仕事の世界では科学的トレーニングもデータ分析も人間の能力向上にはつながっておらず、むしろその能力を低下させてしまっているとすら感じます。なぜなら仕事の世界にはまだ、スポーツのようには見せるとか楽しむという価値観が定着していないからではないでしょうか。それは、スポーツの世界においていわゆる体育会系と呼ばれる精神主義が力を持っていた頃に似ているように思います。仕事において、人間が体育会系精神から脱却して真のスポーツモデルが適用されるようになった時に、そこで必要とされる真の科学的トレーニングとデータ分析が開発され、やっと実を結ぶのではないかと思うのです。

 

代表取締役 CEO 奥野 政樹

 

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