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コンセンサス・ゲーム-2

2021年02月01日


2ヶ月前のこのニュースレターで、「コンセンサス・ゲーム」を社内で行った話を紹介しました。その時に、当社のように日本人以外の社員が多い環境だとコンセンサスというものの概念自体を理解できない社員も多いので、今度、全社的に根回しとガス抜きの要素も取り込んだ本格的なものを実施予定と書きました。さて、実際にやってみましたのでその模様をご紹介します。

まず社員を6、7名ずつの4つのグループに分け、以下の同じ課題に取り組んでもらいました。


ある夏の日、みなさんの乗った飛行機が砂漠の真ん中に不時着しました。飛行機は大破し燃え上がりましたが、みなさんは奇跡的に無事でした。無線で救助を求めることも、現在の位置を知ることもできません。ただ、不時着する前に見た景色から判断すると、最も近い街まで約100kmあることが分かりました。この砂漠は平らな土地で、サボテン以外何も生えていません。現在の気温は体感で40度以上ありそうです。みなさんは半袖シャツ、ズボン、靴下、スニーカーという服装でそれぞれ一枚のハンカチとサングラスを持っているだけです。飛行機の中からは以下の4つのアイテムをかろうじて取り出すことができます。しかし、飛行機の中に入れるのは体力的にXXXさんだけです。飛行機が燃えてしまう前にすべてを取り出すことは難しい。

4つのアイテムの重要度を考え、どの順番で取り出すか決めてください。

・懐中電灯

・一人一リットルの水

・方位コンパス

・手鏡

1-燃え盛る飛行機の中にアイテムを取りに行く「仮想体力あふれる取り出し係」を各グループで一名指名してあります。
2-その他の人のポジション、人間関係等は現実のものを引き継ぎます。
3-コンセンサスができなければ、全員死にます。
4-個別の根回しは砂漠でもできると仮定する。つまり、本番のゲーム前の事前折衝可。
5-コンセンサスの内容、形成プロセスを鑑み、優秀チームを表彰します。


まず、事前相談ありということになると、すべてのグループがやったことは基本同じでした。それは、メンバー全員に各アイテムの優先順位とその理由を聞くということです。いくつかのグループはそれを一覧表にしていました。これは一見合理的なやりかたのようですが、これが一番まずい。それと同時にとても日本的なやり方ですが、日本人じゃなくてもコンセンサスありきとなると、結局みな同じ手法を取るということがよくわかりました。

その後で、各メンバー間の意見の差異の調整に入り、色々なガス抜きも行われて、何らかの空気ができて一応のコンセンサスは形成されます。しかし問題は、このコンセンサスにどれほどの必然性、つまり目的適合性があるのかということです。議論の過程で各アイテムの使い方、例えば手鏡は太陽の光を反射させて救助信号に使うなどということはコンセンサスが取れていき、それから少しずつ、砂漠にとどまるのがいいのか街まで移動すればいいのかという戦略の議論に入っていきます。しかし、これでは順番が逆なのです。まず戦略について意識合わせをして、それから手段を合わせなければいけません。

そして更に大きな問題。それはどのグループも、目的についての意識共有が全くされることなく議論がなされているということです。確かに、4つのアイテムの優先順位についてはどのグループもコンセンサスは形成されました。ところがあるグループでは、会議終了後にしばし時を置いて各メンバーに合意した優先順位を聞いたところ、全員が違う回答をしました。また各グループにおいて、本当にコンセンサス通りの優先順位でツールが取り出されると思うかという問いに対して、明確にはYesと言えない状況です。何人かははっきりと、「結局、みんな自分が生き残ることしか考えないわけで、どうなるかはまったくわからない。」と言っていました。

なぜこのようなことになってしまうのか。それは、戦略や手段のコンセンサスを形成する前に目的のコンセンサスを作らなかったからです。この場合の目的とは、全員生き残るのか、あるいは全体のために一部の犠牲を出すことはやむなしとするのか。はたまた、各自が自己責任で行動するのか、ということです。そこについての同意がないまま手段についてアンケートを取り、空気とガス抜きでコンセンサスを作るから、それが本当に実行されるかどうかについては誰も確信が得られないということになってしまったのです。戦略だって、実は砂漠にとどまるか街まで移動するかの二者択一ではありません。2隊に分かれるという選択肢だってある。しかしそこに考えが至ったグループはひとつもありませんでした。アンケートから入るから安易な妥協を生み、見当が浅くなるのです。

ところで、複数名から質問がありました。「どうしてコンセンサスを作らないといけないのですか?」「人間はそれぞれ考えが違うのだから、そんなことは時間の無駄で、権限のある人が決めるか多数決で決めた方が効率的です。」そういう人たちも、このゲームを通じてその理由の一端はわかったようです。そのような決め方ではメンバー間の納得感は形成されず、結局決定事項の実行に当たりパフォーマンスレベルは低下し、多くの場合において混乱をきたし、それが実行されるのかの保証すらないということになるのです。

このゲームの後、改めて日常の業務を見渡してみると、自分たちが間違えた集団意思決定を行っているというケースが多数あることがはっきりとわかり、業務レベルが大きく向上しました。「コンセンサス・ゲーム」、恐るべしです。
 

代表取締役 CEO 奥野 政樹

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